薄毛・抜け毛治療も期待できる?PRP療法について医師が解説

01.PRP療法(自己多血小板血しょう療法)とは

編集部 PRP療法について、初めて耳にする方もいると思うので説明いただけますか。
杉野 PRPは「PLATELET RICH PLASMA(多血小板血しょう)」の略で、血液中の血小板を豊富に含んだ血しょうのことです。「PRP療法」は、血液中より高度に濃縮されたPRP(多血小板血しょう)を作成し、これを用いて皮膚の生まれ変わりを促して肌をキレイにする「再生医療」の一つとなります。自身の血液から抽出したPRP(多血小板血しょう)を体内に戻して皮膚細胞が持つ修復能力を高め、コラーゲン生成も促すことができます。

その結果、細胞レベルで肌が活力を取り戻し、目の下のくまや小じわを改善してツヤと張りのある肌に生まれ変わることができるのです。自分自身のPRP(多血小板血しょう)を用いるのでアレルギーの可能性はほとんどありません。施術としても採血と注入だけで済むという体にとって負担の少ない施術が魅力です。

02.PRP療法の作用

編集部 再生医療、再生医学というのはここ最近よく耳にする言葉ですね。PRPを体内に戻すことで皮膚細胞の修復能力を高めるというところを、もう少し詳しくお聞かせ下さい。
杉野 PRPの主成分である血小板は止血作用があります。その中には「成長因子」が豊富に含まれていて、他の細胞に命令して組織修復を行います。例えば、血管を生まれ変わらせる血管新生、組織同士の結びつきを強くする結合組織形成の誘導、傷を治す創傷治癒、細胞の活性化などの作用があります。そのためPRPを老化した肌に注入すると「成長因子」が働き傷ついた組織の修復を促します。さらに老化と共に減少するコラーゲンやヒアルロン酸なども生成されるため、細かいしわやたるみを改善することができるのです。

03.オススメする部位

編集部 主な注入箇所としては目もと周りなどでしょうか。
杉野 美容医療の分野では目の下のくまや目もとの小じわなどに注入していきます。他にも、顔の皮膚全体の質的改善や、首のしわ、手の甲のしわの改善にもつながります。PRP療法は非常に細い針を用いるため、繊細な部位にも注入することができます。

04.持続性について

編集部 持続期間に関してはいかがですか。
杉野 同じような作用が得られる方法としてヒアルロン酸注射が挙げられます。ヒアルロン注射はボリュームを出す治療に適しますが、PRP療法は細かいしわや目の下の凹みなどを自然に自分の組織で目立たなくします。そのため当院では定期的にPRP療法を受けていただくことをおすすめしています。肌の再生サイクルを考えて2~3ヶ月に一度ご来院頂き、3回ほど続けると肌に変化を実感できると思います。

05.頭皮へのPRP療法

編集部 青山エルクリニックでは頭皮に対するPRPをこの度始められたと聞きました。頭皮に対するPRPというのは薄毛や抜け毛に対しての施術でしょうか。
杉野 当院では以前からも薄毛・抜け毛に対する治療は行っていて、主に薬剤やビタミンの投与をしていました。しかし近年の研究でPRP療法が毛根を活性化させるとわかり、わたし自身でも体験してみて、イスラエルのシャルコビッツ先生の方式を当院でも取り入れることを決めました。
編集部 ご自身で試されたのですね。やはり頭皮や頭部に対する注入というのは他の身体の箇所に比べて若干痛みが強そうなイメージがありますがいかがでしたか。
杉野 確かに他の身体の箇所に比べれば痛みは少しあるかもしれません。まず針を刺す痛みは頭皮の状態や部位によって異なりますが、わたし自身が経験した感覚としては側頭部や前頭部は刺しているなとわかる程度でした。頭頂部はちょっと痛みましたが、十分耐えられる痛さだと感じました。ただ脱毛が進んで頭皮が硬くなっている方は痛みを強く感じるかもしれません。そういった方には麻酔の準備もございます。
編集部 痛みは針を刺す頭皮の部位によって異なる、ということは患者様それぞれがPRPを注入する部位を選べるということでしょうか。
杉野 頭皮の部位によって異なります。髪の毛のボリューム、頭皮の状態は一人一人異なるので注入の仕方も一人一人異なります。通常は、まず全体にPRPを注入し、その後とくにボリュームロスが気になる分け目とつむじの部分などに重ねて注入します。作用が出るのには半年以上が必要となります。

06.他の薄毛・抜け毛対策との比較

編集部 従来の薄毛・抜け毛対策と比べて他に違いはありますか。
杉野 いくつかあります。まずクリニックに足を運んでもらう回数が少なくて済むという点です。従来の育毛治療では1ヶ月に1度通院していただきましたが、この治療は2~3ヶ月に1度になります。ほとんどの患者様は2回から3回の治療で毛の量が増えると言われています。やはり元々の生活スタイルを崩すことなく治療を受けていただけるのは忙しい現代人にとっては魅力ではないでしょうか。

またこの治療法は男性でも女性でも受けることができます。更に、これはPRP療法全般に共通して言えることですが、ご自身の血液を使うので他の成長因子治療と比べてアレルギー反応を起こすリスクも少ないです。 薄毛・抜け毛で悩まれている男性の中にはAGA(男性型脱毛症)治療薬を飲むと男性機能が低下するのではないかという不安を抱かれている方もいると聞きます。PRP療法はそのような副作用の心配がありません。

ただ成長因子を働かせるという治療の特性上、すでに死んでしまっている毛根に対して作用を期待するのは残念ながら難しいと言わざるを得ません。そのため、やはりこの療法に関しても、早めの施術が重要となります。薄毛・抜け毛で悩んでいらっしゃる方や従来の治療で納得できなかった方はどうぞお早めにご相談ください。

まとめ

  • ヒアルロン酸注射はボリュームを出す治療に適しているが、PRP療法は細かいしわや目の下の凹みなどを自分の組織で自然に目立たなくさせる
  • PRPの育毛治療は従来のビタミン投与などの治療に比べて通院回数が少なくて済む
  • PRPを老化した肌に注入すると「成長因子」が働き傷ついた組織の修復を促す
  • 採血と注入だけで済むという体にとって負担の少ない施術が魅力
  • 美容医療は早めの対策が肝心。気になり始めている方は治療のタイミング