医師が解説! 施術をする前に知っておくべき豊胸のリスクとポイント

01.リスクを抑えつつ傷が目立たないことを優先する豊胸術とは

編集部 まずは、豊胸術とはどういったものか、教えていただけますか?
西岡 豊胸術とは乳房を大きくする美容整形です。当院で扱っている豊胸術には、インプラントというバッグを挿入する「バッグ豊胸」のほか、「ヒアルロン酸注入」や患者さん自身の脂肪を使用する「脂肪注入」という方法があります。

豊胸術の種類によって、バストを大きくできるボリュームの程度、大きさや柔らかさやが持続する期間、費用などが異なります。

「バッグ豊胸」はバッグに使われる素材や耐久性が向上したことにより、以前よりもリスクが少なく手術を受けていただけるようになりました。

02.豊胸術の種類

編集部 それぞれの豊胸術がどういったものか、具体的に教えていただけますか?
西岡 「バッグ豊胸」は2~3カップ程度バストを大きくしたいなど、バスト全体のサイズアップを図り、理想のサイズのバストを手に入れたい方に向いています。腋窩などを切開してバッグを挿入する手術を行うため、術後はダウンタイムが5~7日間必要です。そのうち3日間は胸部を固定し、7日目に抜糸になります。

手術はしたくないという方や会社を休まずに豊胸をしたい方、あるいは、部分的に豊胸したい場合に向いているのは、「ヒアルロン酸注入」という方法です。ヒアルロン酸は徐々に体内で溶けてしまいますが、当院では粒子の大きなヒアルロン酸を使用しているため、1~2年程度の期間もちます。また、脂肪吸引の施術を受ける患者さんであれば、本来は捨てる脂肪を注入する「脂肪注入」という方法も選択肢になります。

03.失敗例「バッグ豊胸」

編集部 豊胸術を受ける方にとっては、失敗するリスクがあることが、気になるところだと思います。豊胸術ではどういった失敗例があるのでしょうか。
西岡 一般的に多い豊胸術の失敗例を挙げていきますね。まず、「バッグ豊胸」で最も多い失敗例は、「被膜拘縮」といわれるものです。バッグなどの異物を体内に入れると、通常まわりに薄い膜ができます。

この薄い膜ができるのは通常の反応なのですが、どんどん硬い膜になってしまうのが「被膜拘縮」です。「被膜拘縮」が進行すると、バッグが押し潰されて、変形してしまいます。ほかには、「リップリング」と呼ばれる皮膚が波を打った状態になることや、まれにバストが2段に見える「2段胸」になってしまうケースもみられます。

いずれのケースでも、基本的には抜去や入れ替えなどの再手術が必要です。

-失敗例「ヒアルロン酸注入」-

編集部 「ヒアルロン酸注入」では、どういった失敗例がありますか?
西岡 「ヒアルロン酸注入」では、ヒアルロン酸は本来、徐々に溶けていきますが、溶けずに大きな塊として残り、しこりになってしまうことがあります。しこりがあっても、ほとんどのケースでは問題はありませんが、稀に痛みを伴うことがあり、1cm以上のしこりは触ってわかるため、気になる患者さんが多いです。しこりは、乳がん検診で紛らわしいため、追加の検査を勧められる可能性があることも難点です。

また、ヒアルロン酸は徐々に吸収されていくため、施術後はだんだん胸が元のサイズに近づいていきます。そのため、ヒアルロン酸がまだ体内に吸収されきっていない状態で、ヒアルロン酸注入を繰り返すと、しこりができたり、バストが硬くなって形が崩れたりしてしまうケースが多いです。長期間に渡って、豊かなバストを維持したい場合には、「ヒアルロン酸注入」は向いていないのです。

しこりが気になる場合は、注射器で吸い出す、あるいは、ヒアルロン酸を溶かす注射を打つといった処置を行うことで改善されます。

-失敗例「脂肪注入」-

編集部 では、「脂肪注入」の場合は、どういった失敗例が起こりやすいのでしょうか。
西岡 「脂肪注入」による豊胸でも、しこりができることあります。注入された脂肪は、周囲から血液の供給が受けられれば定着していきますが、一箇所にまとめて注入すると、大きな塊になってしまい、血液から栄養を受け取れない脂肪は死んでしまいます。

通常、定着せずに死んでしまった脂肪は、体内で処理されていきます。しかし、塊となって死んだ脂肪の中には、体内に吸収されずに、しこりとして残ってしまう脂肪もあるのです。

「脂肪注入」によるしこりも、乳がん検診で追加の検査が必要になることがあり、レントゲンなどの画像診断検査を受けたときに、異常を指摘されるケースもみられます。また、しこりは数年後に痛みが生じることもあります。

しこりが液体の場合は注射器で吸い取る、あるいは、皮膚を切って、細い管を挿入して出すことが可能です。しかし、しこりが固体の場合は乳輪を切開することになります。

04.失敗しないために・・・エビクリでの工夫

編集部 ここまで豊胸術の一般的な失敗例を教えていただきましたが、恵比寿ウエストヒルズクリニックでは、どんな点に注意して豊胸術を行っているのでしょうか。「バッグ豊胸」から教えていただけますか。
西岡 「バッグ豊胸」では切開位置が問題になります。ほとんどの患者さんはバストに手術痕を残さないことを希望するため、当院では腋窩と呼ばれるわきの下が基本です。

腋窩を切開位置にするのは、乳輪周囲や乳房下溝を切開するよりも、左右対称にバッグを挿入するために、高度な手技が求められます。

患者さんの希望や体型などを考慮して、カウンセリングで切開位置を決定しています。

05.豊胸のポイント・・・「バッグ豊胸」

編集部 先ほど「バッグ豊胸」の失敗例として、「被膜拘縮」を挙げられていましたが、「被膜拘縮」を予防するために、どういった対策をとられていますか。
西岡 当院では「被膜拘縮」の予防のため、バッグの種類や剥離範囲も慎重に決定しています。患者さんご自身で行う予防策として、正しいマッサージ方法を指導し、術後にご自宅で実践していただいています。ほかには、バストの状態によっては、2カ月間、バストを柔らかく保つための薬の服用が必要です。術後3ヶ月~6カ月間は、定期的に検診にご来院いただきますが、バッグの位置を調整することもあります。

-豊胸のポイント「ヒアルロン酸注入」-

編集部 「ヒアルロン酸注入」では、どういったことが施術のポイントになりますか。
西岡 「ヒアルロン酸注入」は、注入層の選択や1回に注入する量が重要になります。注入層は皮膚や乳腺の状態の診断を元に、カウンセリングで決定しますが、バストの深い部分の乳腺下や乳腺周囲を選択することが多いです。

ヒアルロン酸の注入量によっては、数回に分けた方がきれいに仕上がりますが、バストの状態にもよります。たとえば、やせ型で皮膚に余裕がない場合は数回に分けますが、授乳後の方など皮膚に余裕がある場合は、1回の注入でもきれいに仕上がるケースもあります。

-豊胸のポイント「脂肪注入」-

編集部 それでは、「脂肪注入」の施術のポイントを教えてください。
西岡 「脂肪注入」は失敗例でも触れたように、固まった状態で注入すると、血管から栄養を受け取れない脂肪が死んでしまい、しこりになる恐れがあります。血管から栄養を受け取りやすいように、少量ずつ重ならないようにまき散らすように、脂肪を注入していくことがポイントです。

また、脂肪を定着させるためには患者さんの施術後の過ごし方も重要です。

血管が脂肪に侵入して定着するまでの期間として、施術後約3週間は激しい運動を避けて、安静に過ごしていただいています。

06.その他の施術について・・・「乳房吊り上げ術」

編集部 バストに関する悩みは、バスト自体大きさ以外にもあるかと思いますが、豊胸術以外には、どんな胸の施術がありますか?
西岡 当院では「乳房吊り上げ術」や「乳輪縮小術」、「乳頭縮小術」を扱っています。このうち、「乳房吊り上げ術」は「乳輪縮小術」と同時に施術することもあります。

「乳房吊り上げ術」は加齢やバストが大きいといった理由で、垂れてしまったバストの形を整えるものです。軽症のケースは、乳輪の上部の皮膚を三日月型に切除して縫合するだけで済みます。
西岡 中等度のケースは、乳輪の周辺をドーナッツ状に切除した後、巾着状に引き合わせて縫うサークル縫合を行います。バストの大きさは変えずに、上向きの張りのあるバストに蘇らせる方法です。重度ケースでは、乳腺や脂肪の除去が必要になると、乳房に傷が残ることもありますが、バストの状態に合わせた最善の方法を提案させていただいています。

-「乳輪縮小術」と「乳頭縮小術」-

編集部 「乳輪縮小術」と「乳頭縮小術」は、どういったバストの施術でしょうか?
西岡 「乳輪縮小術」は、授乳や年齢を重ねたことで大きくなってしまった乳輪を小さくしてバランスを整えるものです。乳輪外周切除は、乳輪の外側をドーナツ状に切り取り縫合するため、乳頭が影響を受けにくいことが利点になります。

乳頭内周切除は乳輪の基部からドーナッツ状に切除する方法で、乳輪のグラデーションが維持できることがメリットです。ただし、乳頭が小さくなることもあります。 「乳頭縮小術」は薄着のときに乳頭が目立つことが気になる方や、授乳で乳頭が大きくなった方などの乳頭を、バストや乳輪に対してバランスのよい大きさに整えます。

西岡 「「乳頭縮小術」は乳管を温存するかどうかによって施術方法は変わりますが、乳管温存方法は、乳管を温存しない楔状切除術よりも難しい手術です。当院では男性や今後授乳をする予定のない女性を除いて、主に乳管温存法を採用しています。

07.最後に

編集部 最後に患者さんへのメッセージをお願いします。
西岡 バストの大きさで自分に自信が持てず、海やプールに出掛けることを躊躇していても、豊胸術を行ってから夏を楽しめるようになった患者さんはたくさんいらっしゃいます。モデル志望の方の場合は、スタイルを整える目的で、豊胸術も合わせて行うことがあります。

授乳を機にバストの形が変わってしまった方は多いかと思いますが、人生をもっと楽しむための手段として、豊胸術を検討してみるのもいいかもしれません。

バストの状態は患者さんによって違いますので、お一人お一人に合った施術方法の提案をいたします。バストの形に関してお悩みがありましたら、ぜひ、お気軽に恵比寿ウエストヒルズクリニックにご相談ください。